今年は5月と言っても寒い日が多く、寒くも暑くもないちょうど良い日がなかなか少ないですね。しかしようやく風薫る爽やかな季節となってきました。今回の花材は一つ一つがどれも色がはっきりしていたり、形のインパクトがあったりと主役級なものばかりで全てがマッチするのかなあとひとりで心配をしておりました。しかし皆さんの出来上がった作品を拝見すると、主役級のお花やグリーンがそれぞれ主張して更に互いを高めあっているようでした。そしてどの色も花器にとても映えており、「はあ~」と思わず感嘆してしまい、私の始めの思いは杞憂に終わりました。お花を生ける時にどうしてもこれを主にして、これを脇役におくことで主を引き立てて…と考えてしまうのですが全て主になるものを生けて全体の完成度を引き上げる生け方もあるのだとまた一つ勉強になりました。お寺のエントランスに飾っているモンステラの大きなグリーンの葉っぱの間を爽やかな風がすり抜けていくようで、見ていて本当に清々しいです。気持ちの良い季節はほんの少しなので貴重な一瞬です。(坊守記)